生活雑貨とECを融合する企業の注目銘柄5選!成長戦略を解説

生活雑貨の通販市場は、デジタル化の進展や消費者ニーズの多様化により、近年急速に拡大しています。
特に、リアル店舗とオンラインを融合させた「オムニチャネル戦略」や、生活スタイルの変化に即応した商品構成が、企業の競争力を左右する時代に突入しています。

こうした背景のもと注目したいのが、生活雑貨とECを融合させた独自戦略で成長を遂げている企業群です。

多くの企業が、アプリの導入、物流体制の見直し、SNSやライブコマースといった販売チャネルの多様化など、デジタルを活用した取り組みを進めています。
これらの取り組みは、顧客接点の強化や利便性の向上を目指すものです。

本記事では、インテリアから日用品・雑貨まで幅広く展開しながら、ECとの融合を強化している注目企業を紹介します。

ニトリホールディングス(9843)ECと物流強化による成長戦略

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ニトリホールディングスは、「製造物流IT小売業」と自社で表現する独自のビジネスモデルを進化させつつ、ECと実店舗の融合を戦略の中核に据えています。

中期経営計画において買上客数などの目標を掲げ、ECプラットフォームの整備やアプリによる顧客接点強化に注力していることが示されています。

具体的には、店舗とECを連携させたBOPIS(Buy Online, Pick-up In Store)モデルを全店舗に展開。
顧客はオンラインで注文し、最寄りの店舗で商品を受け取ることが可能となっています。

また、ライブコマースの社内制作や顧客同士の情報交換を目的としたコミュニティサイト開設など、体験型の購買提案にも力を入れています。

これにより、リアルとデジタルを融合させた新たな生活提案を提供しながら、ブランドのファン化を促進。
国内外での店舗展開と並行して、EC売上の構成比も順調に拡大しています。

>>ニトリについてもっと詳しくデジタル拠点設立は売上3兆円への道 ニトリHD・CIO佐藤昌久氏インタビュー

良品計画(7453)海外とECで進める無印の成長路線

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無印良品を展開する良品計画は、国内外での店舗網を活かしながら、オムニチャネルの強化と生活必需品の拡充を進めています。

アプリ「MUJI passport」は8,800万件以上のダウンロード数を誇り、ECと実店舗をシームレスに結びつける基盤となっています。

中期経営計画では、在庫一元管理による業務効率化と、オンラインと店舗を統合した新しい顧客体験の提供が掲げられています。
 オンライン相談やライブ配信も積極的に活用し、顧客との接点を多様化。

また、洗剤や日用品などの生活雑貨分野においては、価格を抑えつつも品質を担保した製品群を拡充し、生活密着型ブランドとしての立ち位置を強化しています。

海外展開との相乗効果により、EC分野での売上拡大とブランド認知の両立を図っています。

>>良品計画についてもっと詳しく円高メリット?東アジア中心に海外展開も進める『良品計画』地域密着モデルへの転換を推進中

ベルーナ(9997)通販事業の多角化と収益モデル

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ベルーナは、ファッション、生活雑貨、食品、旅行事業などを手がける総合通販企業です。
紙のカタログに加え、EC限定商品や他社モールでの出店など、販売チャネルの多様化に取り組んでいます。

中期経営計画では、通販事業で2,000億円超の売上を目標を掲げ、健康食品やアパレルの強化に注力。
多様な顧客層に対応するため、商品提案のパーソナライズや広告施策の最適化も進めています。

また、グループ内の旅行事業や呉服店舗と連携し、クロスセルを促進するための基盤と仕組みを構築するなど、生活全般を支える提案力で差別化を推進。

生活雑貨分野においても、ECの利便性とシニア層へのアプローチを両立する独自のポジションを築いています。

フェリシモ(3396)ECと生活提案を軸にした独自モデル

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フェリシモは、オリジナルの生活雑貨や衣料品を中心とした定期便通販を展開し、ECとの融合を軸に独自の事業モデルを築いています。

近年は「積層型ゲートウェイ」によるライフイベントに応じた接点創出や、若年層向けブランド「GO!PEACE!」、新社会人向けの「このごろ」など、多様な入口施策を展開しています。

さらに、ポートタワー運営や広告プラットフォーム事業「CREATOR'S VOICE」など、第2の収益柱育成にも注力。

これらの複線的な事業展開を支えるため、継続購入率の向上、DM施策の最適化、原価率の適正化など、収益体質の強化にも取り組んでいます。

フェリシモは今後も、生活雑貨とECの融合を通じて、長期的な顧客価値創出を図る姿勢を鮮明にしています。

パルグループホールディングス(2726)ファッションと雑貨のEC展開

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パルグループホールディングスは、アパレルや生活雑貨ブランドを多数展開し、自社ECサイト「PAL CLOSET」を軸にOMO戦略を加速させています。

2025年2月期には、EC売上の雑貨部門の構成比が約38%に到達。
さらに、自社EC全体の売上高は前年比2桁増となっており、アプリ会員数の増加やSNS連動施策が奏功しています。

ブランドスタッフがSNSで直接情報発信する「社員インフルエンサー戦略」も注目されており、実店舗とECの相互送客を実現。
加えて、EC専用倉庫の新設やロボット活用による物流効率化も進行中です。

生活雑貨ブランド「3COINS」では、郊外店舗の出店とEC展開を同時に進め、低価格帯商品を軸にしたファン層の獲得を目指しています。

ECとリアル店舗をデータでつなぎ、顧客行動に応じた提案を強化する姿勢が、今後の成長を支える重要な基盤となるでしょう。

>>パルグループホールディングスについてもっと詳しく雑貨店『3COINS』で躍進──パルグループHDが挑む“多ブランド×ファスト雑貨”戦略