雑貨店『3COINS』で躍進──パルグループHDが挑む“多ブランド×ファスト雑貨”戦略

アパレル大手のパルグループホールディングス(以下、パル)は、2025年2月期に連結売上高2,078億円と過去最高を更新しました。パンデミック後の復調に加え、雑貨チェーン「3COINS(スリーコインズ)」が大躍進したためです。衣料専門店として出発したパルが、低価格雑貨業態の成功によって新たな成長軌道に乗っています。
「3COINS」はその名の通り均一価格300円の商品を中心に扱う雑貨店で、生活雑貨やアクセサリーを手頃な価格で提供します。バラエティ番組などで特集が組まれる機会も増え、知名度が飛躍的に向上しました。SNS上でも若年層を中心に人気が拡大し、店員自らが発信するInstagram投稿がヒット商品の拡散に大きな役割を果たしています。
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従来アパレル中心だったパルにとって、3COINSは今や売上の約4割を占める屋台骨となり、社名の由来でもある「衣」(衣料)から「住」(生活雑貨)への事業ポートフォリオ転換を象徴する存在です。
本記事では、パルの50年にわたる軌跡を振り返りつつ、“多ブランド×ファスト雑貨”戦略の全貌を紹介します。ジーンズショップからスタートした同社が、雑貨やECを組み合わせたモデルへと進化し、いかに急成長を遂げたのか。そして3COINSを武器に進める脱アパレル依存のポートフォリオ転換と、海外市場への展開構想にも迫ります。